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#2 社会起業家になるための3つのステップ

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#2 社会起業家になるための3つのステップ

渡辺:
こちらの図は、私自身のキャリアをモデル化したものです。
私は中高時代に人生相談業を将来起業したいと思い、その実現にむけて自分の人生を考えました。
なので、大学では将来起業家になるために経営学を勉強しようと、一橋大学の商学部を選びました。
また、卒業後にいきなり起業するのはリスクが高いと考え、起業に必要な経験を身につけるため、新卒で戦略コンサルの世界に入りました。

戦略コンサルの世界で学んだことは2つあります。
1つは戦略立案のスキル。企業経営に関するベーシックなスキルですね。
もう1つは、ブランドコンサルのプロジェクトを通じて磨いた、クリエイティブスキルです。
ブランドコンサルは、企業のビジョンやコーポレートメッセージ、商品コンセプトなどをつくり、社内外に魅力的に伝えることをサポートするコンサルティングです。
クライアント企業のビジョンムービーをつくらせていただいたり、社内外にむけたコンテンツをつくる仕事もさせていただいたりしました。

そのような経験を積んだあと、一度会社のマネジメント業務を学んだほうが良いと考え、ベンチャー企業にてマネジメントを経験させていただきました。
その後、いよいよ自分がやりたいと思っていた、人生相談業のイメージに近い仕事であるキャリアコンサルティングの業界に入りました。
ここでキャリアコンサルティングの業務経験やネットワークを培うとともに、「この業界ではどのようなトラブルが起こり、どのように対処すればよいか」といった細かい業界知識も習得しました。
そして2008年にコンコードを立ち上げました。

社会起業家を目指す際、経営に関するスキルが不足している方であれば、「キャリアの階段」を挟み、戦略立案のスキルやクリエイティブスキルなど、起業家としてのスキルを身に着けてからチャレンジするのがスムーズな方法です。
ただし、各ステップで所属した組織や企業には大変お世話になりますので、それぞれの組織や企業にしっかり貢献をしてからネクストキャリアに進むということは意識していただきたいと思います。

谷中:
そうですね。このチャートはシンプルではありますが、実はすごく重要なことを言っていると思います。
ちょうど先ほど私もインスパイアのイノベーターの例を少しご紹介しましたが、皆さん起業家スキルをまちづくりの中で上手に活かされていると思いますね。

渡辺:
そうですね。特に社会起業家の場合、今まで社会にないような新しいコンセプトを打ち出すため、それらを解きほぐして伝えないとなかなか社会の理解が得られません。
そこで、それらを面白く、魅力的に社会に伝えられるようにするため、クリエイティブスキルを得ることは実はかなり重要ですね。
また、自分が挑戦しようと思っている領域の業界経験やその領域に近い業界経験を通して、業界固有の知識を習得し、ネットワークをつくってから起業すると、非常にスムーズに立ち上がることができます。

もちろんこの3つのステップ全部を経験できるとは限らないですが、この3つのステップが大事なのだと意識してキャリアをつくっていただくことは大切だと思います。

谷中:
3番目のステップなしに起業へ挑戦して、失敗するケースが結構多いですよね。

渡辺:
非常に多いですね。先ほど社会起業家にはコンサル出身の方が多いという話もありましたが、コンサル出身者がいきなり会社を立ち上げると、業界経験がなくて苦労する場合が多いです。
なので、ぜひそれを意識してキャリアをつくっていただくといいと思います。
また、繰り返しになりますが、各ステップで所属した組織や企業にはきちんと貢献をしてからネクストキャリアに進むということはぜひ意識いただきたいと思います。

#3 新しい社会起業家のかたち―個人プロフェッショナルという選択

渡辺 秀和【コンコードエグゼクティブグループ 代表取締役社長 CEO】

渡辺 秀和【コンコードエグゼクティブグループ 代表取締役社長 CEO】

一橋大学商学部卒業。三和総合研究所 戦略コンサルティング部門を経て、2008年、コンコードエグゼクティブグループを設立。日本ヘッドハンター大賞MVP受賞。東京大学「未来をつくるキャリアの授業」コースディレクター。著書『ビジネスエリートへのキャリア戦略』(ダイヤモンド社)など。